GOOD ON THE REEL 2017 TOUR 「グアナコの行進」
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世界で一番乾燥しているといわれるアタカマ砂漠に雨が降った時、花はいっせいに開き、一面を赤く染めた。この現象を「グアナコの足」という。
GOOD ON THE REEL 3rd フルアルバムには、この『グアナコの足』という名前がつけられていた。今日のおはなしは、このアルバムとともに歩んだツアー「グアナコの行進」のこと。
といっても、この行進は6月でおしまいだったこともあって、曲の順番だとか、こまかなことは覚えていないんだ……。あと、じぶんは曲の部分の名前「サビ」くらいしか知らないから、上手な感想も書けないや。どうしても感情ばかり拾ってしまう。でも書いていくね。
ライブが終わって、「あ、自分、生きることに手を抜いてたな、最近」って思った。べつにだらだらと過ごしていたわけではなかったはず。でも、そう思ったことをすごく覚えている。どうしてだろうね。
彼らのライブに足を運んだことがある人はきっと感じていることだけど、ぐぐぐ……と自分の中からいのちを削りだして、ひとつひとつ手渡すようにうたう、鳴らす。自分は手を挙げることも忘れて、立ち尽くして観ているときがある。あ、すごい…… って、ただただ圧倒されている。表情や声、染み込むような音、指先のかすかな震え。ひとつひとつから伝わってくるものは具体的な言葉で説明できるものごとの外側にある。
なにかに躊躇っているようであればそれは自分のせいだ。自分の邪魔をするのはいつだって不安や臆病を生み出す自分自身であるし、「他人は自分のことをこんな風に思うんじゃないか」と自分を踏み留まらせるものだって、他人の姿をした自分だ。
ああぜんぶ自分のせいなんだって思ったとき、なら自由じゃんって思えた。もしかしたら、躊躇ってしまう理由を自分以外の何かに都合良く付けるようなことを無意識のうちにしていたんじゃないかな。落ち着いて考えると、ライブ後の感情の詳細はこれかもしれないし、ちがったかもしれない。
「みんなみんな分からないんだ、だって生きるの、初めてでしょう?!」
「世界はもっと!簡単でいいんだ!」
こう言い放ったのはボーカルの千野さん。この言葉をライブできくのはもう初めてではないけれど、確かめるように何度でもきこう。わたしは弟に前世の記憶があるせいで、生まれ変わり的なものはあるんだなと思ってしまっているけど、この言葉も信じたいと思う。だって前のこと、覚えてないもん …… 。
なんでもかんでも練習があったり、リハーサルがあったりするのに肝心なこの人生はぶっつけ本番だなんてすごい。だから、こう、同じであることの大切さもわたしはわかるけど、なぞっていくことの危うさや退屈さは捨てられない。初めてなんだから間違ったっていい。そんなことを思った。
そしてこの言葉を言い放った千野さんこそ、この言葉を望んでいると思う。大切な言葉は望まれて生まれてくるものだと思う。
アルバムの1曲目、ツアーでも1曲目にうたわれた『砂漠』の歌詞にはグアナコの足の現象が描かれている。この中で扱われる「花」は、ひとりひとりの人やあらゆる出来事であると思った。雨も — 歌詞の中に「雨」はでてこないけれど、音からずっと、ひとつぶひとつぶが落ちて染み込んでいくような雨を感じる— 。
砂漠の雨と花との関係性は決して一方通行ではないし、どちらかがどちらかに限られることもなく、自分も彼らも誰かも、独りじゃない一人の人間が、花であるときもあれば、雨であるときもあるだろうなと思った。それは幸せなことだと思う。
GOOD ON THE REEL の音楽には花がモチーフとして取り上げられることが多い。それはガーベラやノースポールなど、具体的な花の種類が歌われていたり、比喩として意味を託されるものであったり、ある経験や感情が花という概念に例えられていたりする。
いつか枯れてしまうなら花なんていらない、と苦しみとともに生み出された花もある。彼らの音楽がひとつ、またひとつと咲かせていった花も、いつかは枯れてしまう。でも、間違いなく咲いているし、間違いなく生きている。それにその花はきっと他の誰かを笑顔にすることができる。その誰かは、また違う誰かを嬉しくさせることができるし、悲しくさせることもできる。
枯れてしまっても、咲いていたことは確かだし、そうやって確かに繋がっていくのだから、枯れないってことかなって思ったんだよ。
来月から新しく始まるツアーがとてもたのしみ。ライブごとにコンセプトが異なっていて、それぞれには過去のアルバムにちなんだ名前がつけられている。
近所の花。いつもいっこずつ咲いているのに、この前通ったらよっつ咲いていたよ。
もう何年も前に描いた絵。『202』という曲をきっかけに描いた。ツアーでこの曲が聴けたのも本当にたいせつだ。自分の絵が描けるようになったのはここからだと思う。これについてはまたいつかどこかでお話しできたらいいな。
おしまい