劇伴が素晴らしいアニメ5選【その2】梶浦由記/『空の境界』
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どうもあいたんです。
「劇伴が素晴らしいアニメ5選」第2作目は2007~2010年に公開された劇場アニメ『空の境界』です。
作品紹介:空の境界
原作はアダルトゲーム「Fate/stay night」「月姫」のシナリオを手掛けた奈須きのこ氏による長編伝奇小説。上記の台詞を筆頭に、「たしかに、こいつは魔的だ」と言いたくなってしまうような、ふと油断すると一瞬でその世界に引き込まれてしいそうな、魔力を持った台詞があちらこちらに潜んでいます。
主人公両儀式は複数の人格を持つ女性。その人格の一人である織は殺人衝動という欲望を持っていたが、ある時交通事故に遭い、式から人格(織)が失われてしまう。そうして空っぽな人間となってしまった式の、「殺す」ことに執着し人格を補完しようとする姿が描かれます。そこに見出される本作の核は、理想と現実の対立にあります。人には自らが空っぽで無価値だと自覚した時、選択し得る二つの道が存在します。真の私を探し理想を追い続けるか、無価値である事実を受け入れ日常を生きるか。理想を追うというのは一見優位に見えるけれど、逆に現状の事実を受け入れる強さを持っていないと言うこともできます。その二項対立を軸に展開される物語を是非堪能していただきたい。
時に重々しく空気を覆い、時に熱く湧き上がってくるような、個性豊かな梶浦音楽の数々。劇伴としては少々主張が強すぎるのではとこちらが勝手に心配してしまうが、しかしそれは杞憂で、戦闘シーンではロングショットによる3次元的な奥行きある構図とクローズアップを巧みに織り交ぜた派手目な映像演出でその音楽と拮抗して見せている。そんな映像と音楽の融合として成功を収めたのが本作『空の境界』です。本作では、劇伴だけでなく主題歌を務めるのも梶浦さんが立ち上げたボーカルユニット「kalafina」であり、そちらも注目です。
劇伴作家:梶浦由記
『空の境界』を筆頭に、『ソードアート・オンライン』『Fate/Zero』『魔法少女まどか☆マギカ』など近年のヒット作で劇伴を担当している梶浦氏。音楽ユニット「Kalafina」のプロデュースも手がけている作曲家・音楽プロデューサーです。大学卒業後、NTTに技術者として勤めていたという意外な経歴の持ち主。
管楽器とストリングスをメインにした民族風の曲調が特徴。その他にも、普段ポップスやアニソンしか聴かない筆者のような人間にはあまり聴きなれない音がたくさん聴こえてきます。以前、石川智晶氏と組んでいたユニットSee-Sawの代表曲「あんなに一緒だったのに」で用いられたチェンバロは印象的でした。また、よく聴いてみると実は結構ピコピコ鳴っていたりして意外とデジタルっぽくて、それがまたかっこいいです。特に、『空の境界』戦闘シーンの曲はテンションが底から徐々に高まっていき、エネルギーが一気に開放される感じがたまりません。
参考になりそうな動画が公式で見当たらなかったのでここに載せられないのが残念ですが、そこは是非とも本編を見て確かめていただきたいのです。
このアニメを気に入った人に見てほしいその他の作品
「NOIR」「Fate/Zero」「魔法少女まどか☆マギカ」
梶浦氏が音楽を担当している主な作品を挙げてみました。
「空の境界」Blu-ray Disc BOX
Kalafina『Seventh Heaven』(2009)
the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-